【書評】馬券術 政治騎手名鑑2020 TOKYO

騎手がレースで勝利するには

・馬を操る能力

・レース戦略を組み立てる能力

といった要素が必要。ここまでは誰もがイメージ出来ると思う。

 

本書では、それ以上に必要な要素が「政治力」である、というコンセプトから始まっている。

 

騎手における「政治力」とは何か?

 

「政治力」に関する概要、そして「政治力」の視点で考える競馬・馬券について興味のある競馬ファンは読んでみる価値があると思う。

 

また、名鑑と題した本であるため、ベテランから若手騎手まで豊富な情報が記載されている。シンプルに騎手の情報を知りたい、より騎手の知識を深めたい方に取っては必読と言っていいのではないだろうか。

 

 

情報

タイトル
馬券術 政治騎手名鑑2020 TOKYO
Kindle版(電子書籍) 馬券術 政治騎手名鑑2020 TOKYO Kindle版
著者 樋野竜司/政治騎手WEBスタッフチーム
出版社 双葉社
発売日 2019/12/18
価格 1870円(Kindle版1777円)
著者プロフィール 1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。その後も“ヒノくん”の名で斬新な馬券術を次々に発表

 

概要

騎手の勝ち星を左右するのは「政治力」である。

外国人騎手も「政治力」からは逃れられない。馬力絞り出しメーター付き110人騎手名鑑。

 

■序章

本書刊行記念特別対談 政治騎手・樋野竜司vs田中博康調教師「JRA騎手界事情に迫る」

 

■第1章

300ミリの雨が降っても良馬場の怪!ダートでもレコード連発!!ガラパゴス日本競馬の正体に迫る!!

 

■第2章

藤田菜七子騎手の躍進が起こったのは降級制度の廃止が大きく影響!降級制度廃止で競馬が激変!!

 

■第3章

何が何でもルメール・ファーストはいつまで続くのか!?馬力絞り出しメーター付き!110人騎手名鑑

 

■第4章

馬券で買える乗り替わり、買えない乗り替わりを指数化!一撃必殺の馬券を得るための政治騎手活用法

 

 

政治騎手について

騎手がレースで勝利するには、馬を操る能力や、レース戦略を組み立てる能力が必要だが、本書の筆者は、それ以上に「強い馬に乗れるかが重要」と考えている。これらの「騎乗以外のありとあらゆる要素」を「政治力」と名付けている。

 

■騎手の分析(3つの要素)

(1)技術力

騎乗技術、馬の乗りこなす技術。

 

(2)戦略力

レースの流れや相手の出方を読む「展開推理力」や戦法を決めたり状況に対応する「判断力」。

 

(3)政治力

競馬サークル内での「人間関係を作っていく能力」や「人間関係調整力」。

【具体的な例】
・調教師との関係
・馬主との関係
・エージェントとの関係
・騎手同士の関係
など

 

3つの要素に優劣をつけると、「政治力」>「戦略力」>「技術力」

 

技術力、戦略力に優れていても、G1に出走させてもらえなければ、力の発揮のしようがない。したがって、騎手の実力、成績を最も左右のするは「政治力」となる。

 

 

■政治力の分類

「政治力」といっても乗り馬集めにはさまざまなスタイルがある。

以下は基本的な分類。

 

(1)「エージェント」スタイル

「政治力」アップの最も手っ取り早い方法は、力のあるエージェント(※)に騎乗馬のマネジメントを委ねること。
(※)2012年にJRAが正式に認め、2015年9月からJRAホームページ上でも公開されるようになった。

 

(2)「親戚関係」スタイル

父が調教師の騎手に多い。

 

(3)「師弟関係」スタイル

「調教師」と「所属騎手」の関係による所属厩舎優先の乗馬確保。

 

(4)「営業命」スタイル

「営業」で乗り馬を集めるスタイル。普段から調教をつけたりするなど、調教師へのアピールが重要。

 

(5)「義理人情」スタイル

西浦師、河内師などジョッキー上がりの調教師にこのスタイルでの起用を好む人が目立つ。

 

(6)身近な人間関係でやりくりするスタイル

若手~中堅騎手でさほど上昇志向がないジョッキーは必然的にこうなることが多い。

 

 

 

コメント

樋野竜司氏の考える「政治力」といった視点から騎手を分析した本。タイトルに「名鑑」と書かれているだけあって、ベテランから若手騎手までページを割いて分析内容が記載されている。

 

その他、最近の「日本競馬界の情報」や「騎手の状況」にも触れているため、競馬ファンは楽しく読むことができるだろう。

 

筆者が読んだ感想としては、「競馬予想攻略本」というより「競馬の知識本(読み物)」という印象を受けた。

(単に筆者が、この本を使って上手く競馬予想に取り入れることが出来ていないだけかもしれないが)

 

誤解を招かないように付け加えておくと、本書に書かれている「政治力」を踏まえ競馬予想すると、より一層的中確率が上がるかもしれない、ということだけは言っておく。

 

名鑑であるため、一気読みする必要はない。気になった騎手がいたら都度手に取って読むと、競馬の知識が強化されて、より競馬が楽しくなるだろう。

 

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タイトル
馬券術 政治騎手名鑑2020 TOKYO
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